スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

漫画版「ダレン・シャン」 (作画:新井隆広)感想

2009年09月11日 01:56

漫画版「ダレン・シャン」 感想


◆あらすじ
「奇怪なサーカス」シルク・ド・フリークを見に行った少年ダレン・シャンは、毒グモマダム・オクタに噛まれた友人・スティーブの命を助ける為、正体不明のバンパイア、ラーテン・クレプスリーと恐ろしい取引をすることになる。そして、ダレンの運命の歯車は大きく狂っていく……
(Wikipedia先生より)


※原作は既読済みですが、数年前のことなので記憶が曖昧です。


サンデー漫画は原作付きに外れ無しだなあ。
もちろんその前に「私が読んだものの中で」と限定が付きますが、「魔王」(大須賀めぐみさん作画)という原作付きの良作を読んだこともあってその気持ちが大きくなってきたぞ。

「魔王」では原作への愛を持ちつつかなりの改変を加えていたそうですが(原作未読です)、こちらは「原作の1巻を単行本1冊にまとめなければならない」という制約があったからか、
原作に何本かある軸のうちのいくつかを重厚に描きだした感じを受けました。

そして、漫画版で重要視された軸の一本に「ダレンとスティーブの関係性」があると思いました。


(ここからネタバレ注意。「続きを読む」からどうぞ。)

かつてのダレンの親友であり、また最大の敵であるスティーブの描写が原作より深く描かれていたと感じました。
原作ではダレンの一人称で物語が進んでいくので(※1)、他キャラの心境などの描写は基本的にあまりありませんでした。
ですが漫画版では、確かに一人称でのダレンのモノローグが多いものの、他のキャラクターのモノローグが入ることがありましたし、なにより「漫画」という形態なので絵や演出で各キャラの心情を上手く表現することに成功していました。

これは作画担当である新井隆広さんのセンスが光ってると思います。
新人さんということですが、巻を重ねるごとに作画・演出が洗練されていくように感じました。

 特にカーダの髪の毛が<結わえてある/解かれる>という描写はかなり気に入ってます。
 これはやっぱり漫画が一番効果的にできるものですよね。
 あと、最後にダレンが精霊の湖から引き上げられる時に、カーダが背を押し上げるところも外せないかも。
 ハーキャットとしての献身ぶりを知ってるからなあ・・・。ちょっと感慨深いものが。



スティーブというキャラクターの描写が入ることにより、彼の絶望と狂気がすーっと入り込んでくるように感じました。
そしてそれが入水後に人の心を取り戻したスティーブや、最終話での爽やかさをより効果的に演出する助けになっていると思います。

個人的に最終話の描写は原作よりかなり好きです(笑)。
原作ではマダム・オクタのことを最期に思い浮かべて消えてしまいますが、漫画版では親友を続けられるようになった二人を見て、安堵しながら消滅するんですね。
家に戻ってきたスティーブをダレンが「危なっかしいんだよお前!僕たち親友だろ!」と抱きしめるシーンからラストまでの流れは秀逸としか言いようがありません。

というか、かなりスティーブに救済が入っていますね。
原作では入水後もダレンはスティーブのことを蔑んでいましたし、エバンナにも「自業自得」だと切り捨てられてそのままフェードアウトしていったと思います。
あれだけのことをしたスティーブに救済が入るのはどうなのよ、と思う人がいるかもしれませんが・・・私は漫画版の方が好きだなあ。

ダレンにかつての親友のことを嘲ったまま消滅して欲しく無いな、と原作を読んでからも思っていましたし、
なにより私、けっこうスティーブというキャラクターが好きなんですよね。

巻き込まれ型よりは自分から行動する方が個人的には面白いキャラクターだと感じてます。
また自分で行動するキャラクターも大抵、非日常に身を投じるきっかけは何かに巻き込まれてしまうことから始まるのに、スティーブは思いっきり自分から扉をこじ開けにいきましたからね(笑)。

あとは、どんなにベクトルがマイナス方向にでも、強い意志を持ったキャラクターに魅力を感じます。
この場合スティーブは「復讐」という目的が最後の闘いで真実を知るまで全然ズレなかったのがいいなあ、と思ってます。



ということで、愛を受けず、孤独に生まれ育ったスティーブに、ダレンとずっと友情を築いていて欲しいとずっと思っていました。
それだからこそ、漫画版のラストは原作を読んだ時から感じていた望みを全て叶えてくれた、私にとって本当に素敵なラストでした。





ですがやはりページの制約はかなりきついものであったと想像せざるを得ません。
脇を固めていた個性豊かなキャラクターたちの描写は、物理的にやはり原作の方が細やかだったと思います。
エブラやマダム・オクタ、バンチャ元帥などが原作ではもっと目立ってましたからね。




◆さいごに
少年漫画風にされていますが、バンパイアや架空の戦争など、ちょっと血なまぐさいものを扱っているので、その辺りは人を選ぶ作品だと思います。
蜘蛛など、ちょっとグロい生き物も描かれてます。血もかなり容赦なく飛び出しますが、内臓がアップになる等のグロは多分ありませんでした。

そして作画の新井さんの画風も好みが分かれそう・・・かな?
決して繊細という訳ではなく、むしろ豪快なペンタッチが特徴です。
正直、あまり好きな画風ではありませんでした・・・が、読み終わってみるとこの画風がすごくマッチしていたと感じるようになりました。

なにより、ページの制約を受けながらも、原作を一番輝かせるような構成を行った新井さんに拍手。
とても面白かったです!お疲れさまでした。






(※1)
まさか、原作の文章がすべて日記だったとは・・・と、当時は驚いたものです。
確かにずっと一人称で書かれていましたし、クレプスリーが死んだ時にダレンが行った妄想も、ダレンが思ったこと(見たこと?)をそのまま書いていたんですね。

話は変わってこの漫画版でも、最終話あたりにダレンの日記が出てきましたが、これは原作小説のカバー裏の装丁そのままでちょっと嬉しかったり(笑)。
それも原作を読み終わった後気付いて鳥肌が立ったものです。
カバーはかなり凝ったイラストが描かれていたのに、カバーを外したらシンプルで古い本のような絵があったことは1巻からわかっていましたが、その意味が最終巻を読んだ後にようやくわかったもんなあ。



コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://rapturous823.blog105.fc2.com/tb.php/369-d4b9a81b
    この記事へのトラックバック


    最近の記事


    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。